<事例報告>
都市部にある地域包括ケア病棟の看護師による在宅療養支援の現状と課題

前川一恵1) 谷山牧2)

1) 横浜創英大学看護学部看護学科
2) 国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科

【要旨】
 本研究の目的は、地域包括ケア病棟(以下、包括病棟)に勤務する看護師の、在宅療養支援の現状と課題を明らかにすることである。関東圏内都市部にある10病院の包括病棟に勤務する看護師220名を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。本研究での在宅療養支援は、在宅復帰支援と病状悪化時の受け入れとした。
 調査の結果、在宅療養支援の実施割合が最も高かったのは、在宅復帰支援である「食事の自力摂取促し」で96.3%、病状悪化時の受け入れである退院後の予測と対応では、「看護サマリー記入」で85.2%の者が実施していた。包括病棟の看護師は、患者の生活機能向上への援助に取り組み、退院後の病状予測や生活課題について、在宅ケアチームへ情報提供していることが明らかとなった。
 在宅療養支援の実施状況と対象者の概要との関係は、スタッフよりも管理者、退院前カンファレンスに参加した頻度の多い者に、在宅療養支援の実施割合が高い結果であった。
 在宅療養支援の実施割合の低い項目は、社会資源活用であった。在宅療養支援の実践力向上には、社会資源を活用できるスキルアップが必要であり、管理者の支援や退院前カンファレンスへの参加が重要であることが示唆された。