<事例報告>
看護師の定年退職後の職業継続に関する研究

寺尾奈歩子1) 中村慶子2)

1)愛媛大学大学院医学系研究科 看護学専攻
2)横浜創英大学 看護学部看護学科

【要旨】
 看護師の定年退職後の職業継続意思の現状と退職後の再就業における課題について検討することを目的に、A県下の病院に勤務する55-60歳の定年前看護師229名と30-40歳の中堅看護師401名を対象に調査した。調査内容は、属性と定年退職後(以下定年後)の職業継続意思、再就業時に希望する職場環境、定年後の生活設計に関する考え方である。分析は記述統計後、定年退職前看護師群と中堅看護師群に分け、各質問項目を比較した。
 結果、定年退職前看護師の約4割が再就業意思「あり」と回答した。職業継続の理由は「経済的に豊かな生活をするため」、「まだまだ働けると思うから」が挙げられた。再就業後の職場環境は、現在の職場で日勤のみで働きたいという回答が多かった。定年後も働く意欲のある看護師を活用するための方策としては、個々の看護師の経験や知識を活かした職場配置の考慮、労働条件に関する雇用側と定年後看護師側双方の十分な検討の必要性が示唆された。さらに、地域全体の情報を共有し組織的な戦略のもとで定年後看護師の活用を展開することも重要である。