<事例報告>
訪問看護ステーションにおける
看護職員の患者・家族ハラスメントの実態
江藤由美1) 兼児敏浩2)
三重大学医学部附属病院
1)看護部 2)医療安全管理部
【要旨】
A県の訪問看護ステーションに勤務する施設長及びスタッフを対象に患者・家族からのハラスメントの実態調査を行った。その結果、52施設272人から回答を得た。ハラスメントに関するマニュアルが存在しない施設が32施設あった。スタッフのほとんどは看護職員で資格取得後10年以上であるが訪問看護ステーション経験は3年未満である者が95人であった。過去1年間のハラスメント経験は105人であった。ハラスメント内容は「言葉での性的いやがらせ」「性的いやがらせ行為や性的被害」「言葉の暴力(脅迫・不当な要求・いやがらせ)」が多かった。深刻なハラスメントを受けたスタッフのなかで、IES-R(改訂出来事インパクト尺度)25点以上のPTSDハイリスクが17人存在した。今後、在宅医療の重要性が増加する中で訪問看護ステーションにおける患者・家族ハラスメント対策を強化する必要がある。